人材不足の介護業界で望まれるICT化

介護士は長年にわたり人材不足が叫ばれている職種です。
介護業界では、利用者のケアを行うにあたって人の手を重視する傾向がありました。
事業所によって偏りがあるものの、機械に頼らずに介護士の手で介助作業を行うことが、利用者の安心と信頼関係の構築に最も役立つという考えです。
この考えはあながち間違いではありませんが、利用者の体を抱えたり支えたりというすべての身体介護を介護士の手で行うことは、介護士に大きな身体的負担がのしかかります。
その結果、重い腰痛を発症して前線を離脱してしまう介護士も少なくありません。

さらに、身体介護だけでなく介護記録などすべての業務にいたるまで人の手で行う体制が今なお続く事業所もあります。
身体介護で体力が削がれ、そのうえ介護記録も人の手で行うとなると、定時で仕事を終えることが困難になります。
これらの仕事の悪循環も、介護業界の人材不足が慢性化している原因の一つだと言われています。

こうした介護士の負担軽減を図るべく、近年ではICT化が推進されるようになっています。
身体介護の負担軽減のために介護ロボットを導入し、介護記録の効率化のためにタブレット端末の活用が進められるようになりました。
介護士の負担軽減と業務効率化のために変化を厭わない事業所では、早速これらのICT化に意欲的に取り組むところも増えています。
ICT化を進めるには事業所の設備、そして介護士をはじめとするスタッフの学習意欲も求められます。
なかなかICT化に踏み切れない事業所もまだまだ多いですが、導入することで費用対効果は期待できます。